全額経費にできる修繕費、資産計上となる修繕費

修繕工事

建物が古くなるにつれ増えてくる修繕費。
入居者が退去した、設備に不具合が出た、雨漏りがする、など修繕費の支払いは増える一方です。

必要な修繕は避けられませんが、どうせなら全部経費にして税金を少なくしたいですよね。
例えば、修繕費が100万円としてこれを全額経費とできれば、
仮に税率が25%となる大家さんの場合、25万円分の税金が少なくなります。
実質75万円で修繕が出来た!と考えることもできます。

できるだけ経費に入れることを念頭に、全額経費にできる修繕費、資産計上となってしまう修繕費をまとめました。

1.入退去に関係した修繕費の経費処理

入退去に伴う修繕やクリーニングは、現状に回復するための修繕ですから、基本的に全額を経費とすることができます。
但し、物件の魅力アップのために現状回復を超えるリフォームを行った場合は、その超える部分は資産計上となり全額経費とはできません。

(1)原状回復の修繕-全額経費に可能
壁や天井のクロス張り替え
建具(ふすま・障子)の張り替え
床の修繕
クリーニング

(2)現状回復を超える修繕-全額経費にはできない
棚や階段の設置
高品質部材による床張り替え

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2.設備交換に関係した修繕費の経費処理

設備関係は故障してから交換することが多く、頻繁には交換しません。
しかし、物件の魅力を上げるため敢えて機能性が高いものに交換することもあります。
設備関係の交換は、金額によって取り扱いが違ってきます。
10万円未満であれば全額経費、超えると以下のように細かく分類して処理することになります。

(1)10万円未満の修繕
次の設備交換は、普及品であれば設置工事費込みで10万円未満となりますから、通常は全額経費にできます。
ハイグレードのもので設置工事費込み10万円を超える場合は、10万円以上20万円未満の処理となります。
設備例:給湯器、トイレ、エアコン、網戸

(2)10万円以上20万円未満の修繕
次の設備交換は、普及品であれば設置工事費込みで20万円未満です。
10万円以上20万円未満の場合は青色申告者であることなど一定の要件はありますが、通常は一括償却資産として3年均等で経費にします。
ハイグレードのもので設置工事費込み20万円を超える場合は、20万円以上30万円未満の処理となります。
設備例:窓サッシ、玄関ドア

3)20万円以上30万円未満の修繕
次の設備交換は、普及品であれば設置工事費込みで一式30万円未満です。
キッチンについては一式交換ではなく、換気扇だけの交換、コンロ台だけの交換、といった部分交換で済ませる場合も多いですが、この場合にその部分交換が10万円未満であれば上の10万円未満の全額経費処理ができます。
なお青色申告者の場合、20万円以上30万円未満の設備は少額減価償却資産として全額経費にできます。但し少額減価償却資産の全額償却は年間300万円が限度となります。
設備例:キッチン、シャッター

(4)30万円以上の修繕
ユニットバス交換は設置工事費込み30万円を超えるため通常は資産計上し数年で減価償却することになります。
設備例:浴室、太陽光発電パネルと蓄電池

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3.10年から15年で実施すべき修繕の経費処理

屋根、外壁、給排水管取り替え、といった外回りの修繕は足場を組んだ大がかりな工事になります。建物規模によりますが例えば、1棟10戸のアパートで500万円程度と修繕費は多額です。

金額が大きくなるため修繕費全額を経費にするのは難しいのではないかと思われがちですが、きちんとした経費処理をすればほとんどを経費にすることができます。

(1)原状回復の修繕
次のような修繕は、建物の現状を維持するために必要な工事であり全額経費にできます

外壁のシリコン系塗料が劣化したためシリコン系塗料で再塗装
屋根が劣化したため上塗りで塗装
給排水管が劣化したため同等品に取り替え
屋根一部、サッシ窓まわり、外壁クラックなど一部分に施す樹脂注入修繕

(2)建物価値を高める修繕
次のような建物の耐用年数を延ばす修繕を行った場合は、資産計上し数年に分けて経費にします。

モルタルからサイディングへ張り替えるなど高品質材による外壁重ね張り(カバー)工法
現状より高いグレードの塗料による塗り替え(シリコン系から無機系など)
屋根、外壁など外回り全体に及ぶ樹脂注入修繕

修繕費をできるだけ経費にするコツは、内訳を細かく分類することです。
材料は何か、修繕ごとに独立した修繕とみなせるかなど細かくすることで、原状回復や10万円未満であることが根拠になります。
工事業者からできるだけ細かい明細をもらうと良いでしょう。

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